デジタルオペレーショナルレジリエンス法(DORA)の概要

EUのDORAに関する(極めて簡潔な)メモです。なお、CTPPに該当するクラウドサービスプロバイダ(CSP)は、基本的にNIS2指令の対象になっていると思われ、CSPのセキュリティに関する規制の全体像を把握するには、NIS2指令も参照する必要があります。

 

  • 「デジタルオペレーショナルレジリエンス法(DORA)(規則2023/2554)は、EUの金融エンティティに関するデジタルオペレーショナルレジリエンスについて包括的な枠組みを確立する。金融セクターの全てのエンティティはDORAの適用対象となり、金融エンティティにICTサービスを提供し、かつ重要(critical)と特定されたICTサードパーティプロバイダー(CTPPs)は、EUの監督枠組みの適用対象となる。DORAの監督枠組みは、3つの欧州監督機構(ESAs)(すなわち、欧州銀行監督機構(EBA)、欧州証券市場監督機構(ESMA)、欧州保険・職域年金監督機構(EIOPA))に対し、主管監督当局としての役割を付与し、EU金融セクターに対して生じ得るリスクについて、CTPPsが汎欧州的規模で適切に監視されることを確保する」(EBA)。
  • DORAは、7章からなる。第1章は総則、第2章はICTリスク管理、第3章はICT関連インシデント管理等、第4章はデジタルオペレーショナルレジリエンステスト、第5章はICTサードパーティリスク管理、第6章は情報共有取決め、第7章は当局の監督権限を定める。
  • 第2章は、ICTリスク管理の一般的な枠組みを定める。第1節(=第5条)は、ガバナンス及び組織を規定する。第2節(第6条〜第16条)は、ICTリスク管理のプロセスと主要なリスク管理措置を定める。
  • 第3章は、インシデントレスポンスを定める。特に、第19条は、インシデント報告を定める。
  • 第4章は、デジタルオペレーショナルレジリエンステスト(≒セキュリティテスト)について定める。テストとして、一般的なテスト(最低年1回実施)と、TLPT(最低3年に1回実施)が定められている。TLPTは、脅威インテリジェンスに基づくレッドチーミングテストである。
  • 第5章は、ICTに関するサードパーティリスク管理を定める。
    • 第1節(第26条〜第30条)は、金融機関のサードパーティリスク管理義務を定める。特に、第30条は、金融機関とICTサードパーティサービス提供者(クラウドサービスプロバイダ等)の間の契約で合意すべき事項を定める。
    • 第2節(第31条〜第44条)は、CTPPの義務と欧州当局(EBA、EIOPA、ESMA)の監督権限を定める。当局は、CTPPの指定権限、情報提出要求・立入検査権限、勧告権限を有し、CTPPは、勧告に応答する義務を負う(従う義務はない)。当局は、CTPPが勧告の応諾を拒否した場合、最終手段として、金融エンティティに当該CTPPとの契約を終了させることを要求することができる。なお、これら以外に、DORAは、CTPPに直接に義務を課すことはしていない。
  • 第6章は、サイバー脅威情報・インテリジェンスの共有取決め(ISAC等)について定める。
  • 第7章は、加盟国当局の監督権限(基本的に金融機関に対するもの。)を定める。