2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

AIの発明者性を否定した東京地裁判決について

東京地裁でAIは発明者たり得ないという判決が出ており、日経(アプリ版)で速報が出るなど世間的には一定のインパクトがあったようなので、それについて書いていきます。 「原告は、特願2020-543051に係る国際出願(以下「本件出願」という。)を…

情報通信技術の進展等に対応するための刑事法の整備に関する要綱(骨子)(特に電磁的記録提供命令)について

調べた際のメモです。個人的には電磁的記録提供命令に注目しています。 経緯 法制審議会は、諮問第122号を受けて、令和4年7月から令和5年12月までの間、刑事法(情報通信技術関係)部会(酒巻部会長)を置き、情報通信技術の進展等に対応するための刑事法の…

個人情報保護法の共同規制的アプローチ

個人情報保護法が分かりにくいことの一つに、条文を読んでも何がしたいのかが分からないということがあるのではと思ったので(自分で最初に読んだときもそう思った記憶があります)、そのことについて書いていきます。 個人情報保護法が共同規制を採用してい…

個人情報保護法の不適正利用禁止規定の意義/統計的差別事案に対する不適正利用禁止規定の適用について

不適正利用禁止規定規定について書いていきます。統計的差別については、ガイドラインは保守的であり、一方、MHM連載は(実務の立場から)踏み込める可能性を検討していますが、民事実体法について考えるのが実は一つの突破口なのではないかと思います。 不…

教育データ利活用と個人情報保護

機会があって教育機会データ利活用について調べたのですが、大きな問題があると感じたので、関係する文書、記事等をまとめておきます。問題点は概ね文献4及び6に書かれているので、特にコメントはありません。 教育データの利活用に関する有識者会議 論点整…

【最高裁】医療法人の社員が一般法人法の規定の類推適用により裁判所の許可を得て社員総会を招集することはできないとした決定について

3月に出た医療法人の社員総会の招集に関する判例について書いていきます。 前提 医療法上、医療法人社団は、一般社団法人類似の法人であり、社員総会、理事、理事会、監事が必須機関である。社員総会は、全社員からなる合議体であり、役員(理事、監事)の選…

窃盗罪における「意思に反する」占有移転の実質化と電算機詐欺罪の解釈

『刑法各論の悩みどころ』を読んでいたところ、以前論文を書く過程で読んだある論文のことを思い出したので書いてみます。 前提 最決平成19年4月13日刑集61巻3号340頁は、専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器を使用する意図のもとにこれ…

最近の憲法関連判例まとめ(2019~2023)

見返してみたので。 幸福追求権・私生活上の自由・法の下の平等など 性同一性障害特例法の生殖腺除去要件 GPS装着行為のストーカー規制法による処罰 夫婦同氏制 マイナンバー制度 孤立出産後の行為の死体遺棄罪による処罰 経産省職員の女性トイレの使用制限 …