2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

個人情報保護法の3年ごと見直しの中間整理に対するパブコメ意見

3年ごと見直しの中間整理についてパブコメ意見を提出したので、サマリーと、引用した資料のリンクと、青で補足をつけて公開します。若干重複が多いですが、コメントが分割されてまとめられることを想定したためです。 なお、本意見(サマリーと補足を含みま…

生体データを規制するとはどういうことか(特に警察に対する監督強化について)

個情委が生体データの規制に関心を示していますが、生体データの規制強化と不可分の関係にある警察に対する監督強化について問題意識を持っているのだろうかと思ったので、それについて書いていきます(後半で問題意識が分かる文献を詳しめに引用することに…

Data Protectionの基本概念(高木連載8に関して)

若干遅ればせながら高木浩光「個人情報保護から個人データ保護へ ⑻:法目的に基づく制度見直しの検討」(紙版はこちら)を読んだので、思ったことを書いていきます。 Data subjectについて 論文131ページでは、Hondiusの「データバンクが遵守すべき一定の基…

【最高裁】コインチェック流出NEM収受事件上告棄却判決について

3月に公表された論文(紹介記事)で論じた問題の1つについて、最高裁の判決がありましたので、それについて書いていきたいと思います(判決の読解が半分、論文の宣伝が半分です)。 本件の概要 本件の背景は論文に書いたとおりです(以下に引用します)。 20…

スタディサプリの件について

読売新聞が「小中学校の学習端末利用で児童生徒の情報をアプリ業者が直接取得・管理…文科省が全国調査へ : 読売新聞」との報道を行っているので、それについて書いていきたいと思います(まずは記事をお読みください)。 記事の内容について 記事によると、…

監視と評価が人々の行動を歪めることについて(教育評価を例に)

読売新聞の古沢由紀子氏の記事「高校入試の合否を決める内申書に直結する学習評価の難しさ。中学教師が悩む生徒の「主体的な態度」測定:読売編集委員が考察 : 読売新聞」を読んだのですが、個人データ保護あるいはデータプライバシーを考えるうえで示唆的だ…

啓発ポスターと条例の区別がつかない議員たち/努力義務は法的義務ではないのか

香川県のケース 香川県議会は、よく知られているように、2020年、「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」を制定した。その18条2項によれば、「保護者は…子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲームの利用に当たっては、1日当たりの利…

詐欺広告プラットフォームへの最もドラスティックな対処法

取引透明化法に基づくモニタリング会合で、一部の広告プラットフォーム運営者の対応が話題になっていますが、政府にはどのような武器があって、どのような武器がないのかを考えてみたいと思います。 取引透明化法というアプローチとその限界 経産省は、取引…

【最高裁】優生保護法違憲判決について

7月3日の優生保護法の不妊手術に関する規定を違憲とし、損害賠償請求について除斥期間の主張を制限した大法廷判決について書いていきます。 1 裁判体は大法廷で、全員一致です。宇賀裁判官が意見を、三浦裁判官・草野裁判官がそれぞれ補足意見を述べています…