通信規制

2024年のデジタル政策を振り返る

2024年は、デジタル社会の実現に向けた政府の取り組みが本格化し、さらなる制度的変革への準備も進んだ年だったと感じています。本記事では、この変革期における日本のデジタル政策について、できるだけ相互の繋がりが分かる形で整理していきます。 サイバー…

公然性を有する通信という概念について

標記について、若干考えたことがあるので備忘として簡単に書き残しておきます。 SNSは新聞のようなメディアなのか、通信サービスのような伝送インフラなのかが問題とされてきた。これに関して、米国では現在、SNSがリベラルなコンテンツを優先していると主張…

現在検討されている偽情報対策と2000年代後半の通信・放送法制の見直しの関係について

標記について、若干考えたことがあるので備忘として簡単に書き残しておきます。 総務省は、2000年代後半の通信・放送法制の見直し(平成22年放送法・電波法改正として結実した。)において、 EU法を参考に、 放送のハード・ソフト分離、コンテンツ・伝送イン…

LINEアルバムの「通信の秘密」該当性について

標記について、若干考えたことがあるので備忘として簡単に書き残しておきます。 LINEのアルバム写真が流出した件について、総務省は通秘漏洩に当たるという前提で対応している。これについて、「アルバムは通信というよりは通信を使ったサービスであり、通信…

「サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議 これまでの議論の整理」について

いわゆる能動的サイバー防御(漠然としたワードですが)について、中間整理に相当すると思われる文書が公開されているので、それについて書いていきます。 概ね適切な方向性であるものの、事務局が何を考えているのかが十分に示されておらず、議論が発散して…

DMA7条の概要ー番号非依存通信サービスの相互運用性義務

DMA7条はWhatsApp、Facebook Messengerのような番号非依存通信サービスについて、相互運用性の義務を課しているのですが、それについて書いていきます。 背景 過去の2つの記事 総務省のLINEヤフー株売却要求は正当化されるか?/互換性確保義務を課すという…

スマホ競争法は何が新しいか?/今後の理論的検討課題

スマホソフトウェア競争促進法(スマホ競争法と呼ぶことにします)について思ったことを書いていきます。なお、法文は参議院のサイトのものが横書きで読みやすいです。 独占禁止法は人為的手段によって競争制限を生じさせることを禁止し、予防的に競争制限を…

総務省のLINEヤフー株売却要求は正当化されるか?/互換性確保義務を課すという選択肢について

背景 2023年10月、「貴社(注:LINEヤフー)のITインフラの運用に係る業務委託先であるNAVER Cloud社及び貴社が、それぞれセキュリティに係るメンテナンス業務を委託していた会社(以下単に「業務委託先会社」という。)においてマルウェア感染が生じたこと…