LINEアルバムの「通信の秘密」該当性について

標記について、若干考えたことがあるので備忘として簡単に書き残しておきます。

 

  • LINEのアルバム写真が流出した件について、総務省は通秘漏洩に当たるという前提で対応している。これについて、「アルバムは通信というよりは通信を使ったサービスであり、通信の秘密の漏洩とは言えないかもしれない」という指摘がある(LINEアルバムの不具合で「突然他人の写真」 震えるユーザー:日経ビジネス電子版。ただし総務省の対応が明らかになる前の報道)。
  • 個人的には、当初通秘漏洩だろうと考えたものの、上記の指摘に接して、確かにそうかもしれないと考えた。すなわち、電通法4条1項は、「電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密」の侵害を禁止しており、一度到達した後のアルバム画像は、例えばGmailで受領した後Google Driveに保存したファイルと同様に、「電気通信事業者の取扱中に係る通信」ではないのではないかと考えた。
  • もっとも、最終的に、やはり通秘漏洩ということでよいのではないかと思うに至った。すなわち、LINEアルバムは、トークルームに付属しており(トークルームとアルバムは一対多で紐づいており、アルバムは複数のトークルームに紐づくことはない)、かつ、LINE上で普通に画像を送信する場合とアルバムに追加して画像を送信する場合ではUIにあまり違いはない。このような状況に照らすと、アルバムはトークルームと一体として通信サービス(電気通信役務)を構成しており、アルバムはやはり通信ないし通信記録(単なるストレージではなく通信用のストレージである)と見ざるを得ないのではないか。
    • このように考えた場合、上記のような「ストレージか通信サービスか」という問いの立て方はそもそも適切ではなく(通信サービスの提供にストレージを使用することはありうるし、更に言えば非同期の通信サービスのほとんどは原理上ストレージの使用を伴う)、やはり「通信サービスの一部かどうか」という問いを立てるべきなのだと思われる。